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消えた記録、取り戻した希望
-プロカメラマンのデータ復旧物語-
ご利用サービス | SDカード データ復旧サービス |
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作業期間 | 初期診断2日 復旧4日 |
機器 | SDカード |
メーカー | SONY |
型番 | CG64G2021 |
―SDカードデータ消失から復活までの2週間
「25年間一度もこんなことはなかったんです」 そう語るのは、25年のキャリアを持つプロカメラマンのCさん。今でも身震いしながら思い出すのは、今年3月、学校行事の撮影中に発生した出来事――撮影した子どもたちの写真データを、自らの手で誤ってフォーマットしてしまったことです。
「もう終わりだと思いました。25年間頑張ってきたこの仕事は、もう終わりなんだ、と。」
淡々と語りながらも、その言葉の奥に滲むのは、あの瞬間の底知れぬ絶望。行事に参加した子どもたちの笑顔――そのデータが、取り戻せないものになったかもしれないという現実を前に、Cさんの頭は真っ白になったといいます。それは単なるデジタルデータではありません。仕事の信頼、子どもたちへの責任、そしてカメラマンとしての誇り――そのすべてが詰まった記録でした。
データ消失からわずか2週間後、Cさんのもとに一本の電話が届きます。 「カメラマンとしての終わりだと思っていたので、復旧できたと聞いた時は涙が出ました。子どもたちに何事もなかったように写真を届けられると分かった瞬間は、言葉にできないほど安堵しました」
本記事では、Cさんが直面した職業人生最大の危機と、それを乗り越えた“2週間の記録”をたどります。そして、大切なデータを守るために誰もが知っておくべき教訓と、万が一のときに「希望をつなぐ選択肢」についてもお伝えします。
―いつも通りにやった――それなのに、消えていた
――「そんなことをするはずがない」 プロカメラマンのCさんは、データ管理には人一倍の注意を払ってきました。データ保護の観点から使用しているカメラは2枚のSDカードに同時に記録する「ダブルスロット仕様」。どちらかが破損しても、もう一方にデータが残るという安全策を日常的に講じていたのです。
「普段のルーティンでは、撮影後すぐにパソコンに取り込み、バックアップも取ってから次の仕事に備えます。特に忙しい時ほど、慎重になります」とCさんは語ります。 しかし、3月に行われた学校行事の撮影では、いつもと違うイレギュラーな事態が発生しました。
「その日は朝から撮影をしていて、途中にクライアントから『午前中分だけ先に納品してほしい』という要望があったんです」 その対応のため、Cさんは撮影の途中で一度作業を中断し、午前中に撮ったデータをノートパソコンに取り込んで納品作業を行いました。その後、改めてカメラにSDカードを挿入し、午後の撮影を再開。しかし、この一連の流れが、普段とは違う誤算を生むことになります。
「全部取り込んだつもりだったんです。でも、実際には午後に撮った写真がSDカードに残ったままだったんです・・・」 Cさんは、いつもならフォーマットする前にバックアップの有無を必ず確認する習慣を守っていました。しかし、この日は途中に取り込みを行ったことで、頭の中で「すでにバックアップ済み」という誤った記憶ができてしまったのです。
「3月は撮影のピークで、次の日も撮影、さらにその翌日も……という状態でした。翌日は休みだったので、このタイミングで機材の整理をしておこうと判断しました。」 そして、その夜。次の撮影に備えてSDカードを初期化(フォーマット)したCさんは、その時点ではまだ、自分の犯したミスにまったく気づいていませんでした。
「撮影から10日ほど経った夜、会社から『データが足りない』という連絡が届いたんです。一瞬、何のことかわからなかった。すぐに保存先を確認しましたが、どこにも見当たらない。残っていたのは、すでにフォーマットされたSDカードだけでした」 その瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われたといいます。いつもなら万全を期していたはずのバックアップ作業。しかし、イレギュラーな撮影スケジュールと緊張感の連続によって、わずかな手順のズレが、大きなミスへとつながってしまったのです。
「本当に魔が差したとしか言いようがありません。普段なら絶対にしないミスでした。あのときの忙しさがなければ、防げたはずなんです」 25年間、一度もこんなことはなかった。そんなCさんにとって、このミスはプロ人生の危機でした。ですが、現実を受け入れたCさんは、気持ちを切り替え、解決策を探し始めました。
―「もう終わりだ」…震えながら開いたメール
何の変哲もない、いつもの夜でした。仕事を終えて、ふとスマートフォンを開いたそのとき。Cさんは会社から届いた1通のメールに目を留めます。
「メールを見た瞬間、血の気が引きました」 そこには、たった一文。 「データが足りません」――。その文章が、頭の中で何度も反響しました。 翌朝も早くから仕事が入っていたにもかかわらず、Cさんはすぐにパソコンを立ち上げ、データを探し始めました。フォルダを一つひとつ開き、外付けハードディスクの中も確認します。しかし、いくら探しても、目当てのデータは見つかりません。
「パソコンにも外付けHDDにもない。それでようやく気づいたんです。…SDカードをフォーマットしてしまったんだ、って」 全身から力が抜け、頭が真っ白になる感覚。Cさんはすぐに会社へ連絡を取り、事実を正直に伝えました。言い訳をせず、隠し事をせず、起きたことをそのまま報告する――その姿勢は、プロとしての覚悟そのものでした。
「もう終わりだと思いました。25年間続けてきたこの仕事が、こんな単純なミスで終わってしまうなんて。同業者に『あなたが悪い』と言われても仕方がない。データの重みは、誰よりもわかっているはずなのに……」 この失敗の影響は、Cさん一人の問題ではありませんでした。依頼主の会社、そこから仕事を請けている他のカメラマンたち、長年の信頼関係でつながっている代理店、そして何より、写真の仕上がりを心待ちにしている子どもたちとその保護者。
「子どもたちにとって大切な行事だったんです。その記録を、自分の手で台無しにしてしまった。何時間もかけて撮影に応じてくれた子どもたちのことを思うと、胸がつぶれそうでした」 Cさんの表情が曇ります。一時は、すべてを投げ出して故郷に帰り、別の仕事を始めようかとまで考えたといいます。それほどまでに、今回の失敗はCさんのアイデンティティを深く揺るがすものでした。
「生きた心地がしない2週間でした。心臓はずっとバクバクしていて、何をしていても手につかない。次の仕事にも集中できませんでしたが、表に出すわけにはいかず、ただ必死に平静を装っていました」 そんな極限の精神状態の中、Cさんは望みを繋ぐため、データ復旧サービスを探し始めました。
藁にもすがる想いで、復旧の道を探した
「何としてでも取り戻さなければ」 その一心で、翌朝もCさんは予定通り仕事へと向かいました。しかし、頭の中はデータ復旧のことでいっぱい。車にはSDカードを積んだまま、仕事の合間を縫ってスマートフォンで復旧サービスを検索し始めました。
「『データ復旧 SDカード』で検索すると、たくさんの会社が出てきました。でも、こういうトラブルは初めてだったので、どこを選べばいいのか全く分からなかったんです。」 検索結果の中には、自分で復旧できるソフトウェアも多数紹介されていました。けれども、Cさんはそれらに手を出さず、慎重に判断を下します。
「素人が中途半端に手を出して、復旧の可能性まで潰してしまうのが一番怖かった。これはもうプロにお願いするしかない。普段の自分ならじっくり比較検討できたと思うんですけど、あのときはとにかく焦っていて、冷静な判断ができなかった」 いくつかのサイトを見て回る中で、Cさんはひとつの会社に目を留めます。料金体系が明快に書かれており、「完全成功報酬」という言葉も信頼感につながったといいます。
「なんとなくですが、安心できる感じがありました。慌てているときって、難しい言い回しや不透明な料金表示を見るだけで不安になるんです。だから、『ここなら話を聞いてもらえるかも』と思えて、電話することにしました。手は震えるほど緊張していましたけど」 電話口の担当者は、Cさんの切迫した状況を丁寧に聞き取り、その日の午後3時に来社できるよう案内しました。
「仕事が終わってすぐ車を走らせました。持っていたSDカードは4枚。でも、どれに該当データが入っていたのか、自信がなかったんです」 来社後、担当者はCさんの話をじっくり聞きながら、3枚まで無料診断できることを説明。Cさんは、記憶を頼りに、可能性の高いカードを選んで診断を依頼しました。
「正直、『これだ』と確信が持てるカードはありませんでした。『多分これかも、いやこっちかも…』と迷いながら出していった感じです。でも後からパソコンで調べたら、最後に診てもらったカードが該当のものでした。運命ですね」 こうして4枚のSDカードを預け、あとは結果を待つだけとなりました。
「診断には2〜3日かかると言われました。でもそのときの私は、とにかく不安でいっぱいで……。本当に復旧できるのか、希望と不安の間で揺れていました。それでも、ほんの少し、光が見えた気がしんです」
「これだ!」涙が出た、取り戻した瞬間
SDカードを預けた翌日から、Cさんにとって新たな試練が始まりました。それは、ただ「待つ」こと。仕事に追われるはずの一日も、心は常に復旧の結果へと引き戻されていました。
「24時間、頭のどこかで『もしダメだったら』と考えていました。仕事中も必死で集中していましたが、頭の片隅ではずっとカウントダウンが鳴っていたんです」 診断結果が出るまでの2日間、Cさんの頭の中ではさまざまな可能性が交錯していました。フォーマットされたデータが本当に戻るのか。専門家の手にかかれば可能性はあるはず――でも、確実ではない。その不確かさが、ますます不安を大きくしていきました。
「家でも何をしていても手につかなくて。心臓がずっとドキドキしていて、夜も眠れない状態が続いていました」 そして、預けてから3日目の夕方、待ちに待った連絡が届きます。
「『診断結果が出ました』と連絡をいただいて、すぐに電話をしました。担当の方が『データが見つかりましたよ』と言ってくれた瞬間、全身から力が抜けそうになりました」 それでも、Cさんの緊張はすぐには解けませんでした。診断段階でデータの存在が確認できても、実際の復旧作業が完了するまでは安心できなかったからです。
「『あるかもしれない』という希望はありましたが、まだ完全に信じきることはできませんでした。復旧作業にはまだ時間もかかるので、さらに数日待つことになりました」 土日を挟んで迎えた月曜日の昼、ついに復旧完了の連絡が届きます。
「『作業が終わりましたので、データを取りに来てください』という言葉を聞いたとき、心の底からホッとしました。あのときの安堵感は、言葉では言い表せません」 Cさんはすぐに車を走らせ、データの入ったハードディスクを受け取りに向かいました。
「実際に復旧したデータを確認させてもらったとき、本当に涙が出ました。そこには間違いなく、あの学校行事で撮影した子どもたちの姿が映っていたんです」 小さなサムネイル越しに、Cさんはその子どもたちの表情を一瞬で認識しました。
「これだっ!」 2週間抱え続けた重圧が、一気に解き放たれるような瞬間でした。
「カメラマンとしての終わりだと思っていたのに、また写真を撮り続けられる。自分が戻ってこられた気がしました。本当に、言葉では言い尽くせないほどの感謝の気持ちでいっぱいでした」 復旧されたのは、JPEGデータだけでなく、撮影時に記録していたRAWデータも含まれていました。一部のRAWデータは編集ソフトで読み込めない状態だったものの、JPEGは完全な状態で復元されており、納品にはまったく支障がありませんでした。
「データを納品したとき、『ありがとう』と取引先に言ってもらえました。子どもたちやご家族にも、何事もなかったように写真をお届けできたんです」 そう語るCさんの声には、ほっとしたような安堵と、プロとしての責任を果たせた実感が込められていました。
失敗から立ち上がる力――すべての人に伝えたいこと
「失敗した時にどう対処するかで、その後の人生が変わると思います」 慎重に言葉を選びながら、Cさんはそう語ってくれました。データ喪失という危機を乗り越えた今だからこそ、その言葉には深い重みがあります。
「プロでも、失敗はします。大事なのは、そのあとどう行動するか。それが分かれ道になるんです」 同じような経験をした人、あるいは今まさにデータを失いかけている人がいるかもしれない。そう考えたCさんは、経験を踏まえた具体的なアドバイスを話してくれました。
「何よりも大切なのは、“諦めないこと”です。私も最初は『終わった』と思いました。でも、そこで動いたからこそ、道が開けたんです」 特に強く伝えたかったのは、「自分での復旧作業は慎重に」ということでした。
「インターネットで検索すれば、復旧ソフトはいろいろ出てきます。でも、下手に手を出すと、取り返しのつかないことになります。迷ったら、すぐに専門家に相談する。それが一番確実です」
そしてもう一つ、普段からの備え――バックアップの重要性です。 「スマホの写真も、仕事のデータも一緒です。日常的にバックアップを取る習慣があれば、いざという時に救われます。特に、データは1か所ではなく複数に保存しておくことをおすすめします。また、いつ起こるか分からない災害に備えて、クラウドストレージの活用も大切です」
人間は誰しもミスをする。だからこそ、その前提で備えておくことが必要だとCさんは言います。 「自分は大丈夫、と思わないことです。失敗は、どんな人にも起こり得ます。だからこそ、最初から“絶対にミスをしない”ではなく、“ミスをしても守れる体制”を作っておくことが大事なんです」
そして、データ消失という出来事を通じて得た、より深い教訓についても語ってくれました。 「どんな危機的な状況でも、慌てず、冷静に最善策を探すこと。今回の経験で、それがどれほど大切かを実感しました。仕事でも日常でも、問題が起きたとき、感情に流されずに動けるかどうかが試されるんだと思います」
インタビューの最後、Cさんは自身の価値観の変化について、穏やかな口調でこう話しました。 「データが消えた瞬間、本当に世界が終わったような気がしました。でも、今振り返れば、失ったものより、残っているものに目を向けることの大切さに気づかせてもらった出来事でもありました」
「失敗は誰にでもあります。大切なのは、そこから立ち上がる力と、同じことを繰り返さないための学びを得ること。そして、困った時には人の力を借りる勇気を持つことです」
数週間前には想像もしていなかった苦難と教訓を経て、Cさんは今日もまた、撮影の現場に立ち続けています。
記録を守るということ、心を預かるということ
C様は25年以上写真の仕事に携わってこられ、SDカードも2枚同時に記録するなど、日頃から万全の対策を取っていらっしゃいました。それほどの経験と意識を持つ方であっても、状況が重なることで思わぬミスが起こることがあります。
私たちは1999年からデータ復旧事業を手がけており、奇しくもC様と同じく25年の歩みを重ねてきました。お客様一人ひとりに寄り添い、最適な手段を一緒に考える――その姿勢が、信頼につながってきたのだと感じています。
今回お預かりしたのは、学生さんたちの貴重な写真データでした。C様はお一人お一人の背景を丁寧にお話しくださり、そのまなざしからは「記録」を超えた想いが感じられました。 「カメラマンにとって、被写体を理解することが何より大切」――その言葉に触れ、私たちも必ずデータを取り戻さなければと心を新たにしました。
SDカード4枚を最初にお持ちいただきましたが、より確実な診断のためにPCの調査もご提案し、翌日追加でお持ち込みいただきました。結果として、最初のSDカードの一つから、ご希望の写真を無事に検出できたことは、何より嬉しい瞬間でした。
今回の経験を通じて、「データとは、人生の一部である」ということを改めて胸に刻みました。C様との出会いは、私たちにとっても大切な意味を持つ出来事となりました。心より感謝申し上げます。
担当コンサルタント:今関

スタッフ一丸となって復旧へ最善を尽くします。
迷ったら一度ご相談ください。